2010年に「困ってる人」のweb連載を見つけて面白くて読んでいたらあれよあれよという間に書籍化されてすっかり有名になった大野更紗さんの本。
本作はいろいろなところに書かれた対談とかエッセイとかを収録したもの。
イラストが「困ってる人」と同じなので軽いものかと思ってたら、ポストコロニアルがーとか政策的インプリケーションがーとかプルーラリズムがーとかハイブロウ。装丁と内容がちょっと合ってない。
よく勉強してるし、面白そうな本をたくさん読んでるなぁ。さすが大学院生。
内容は医療、介護、福祉、社会保障、実家の福島の話や糸井重里さんや重松清さんとの対談とか。
難病と障害と分野は違うけど「健常者」から突然困った状態に突き落とされたのは同じなので共感できる部分が多い。
福祉や社会保障の話を真剣に考えている人が日本にもたくさんいるんだなぁと少し安心。
だけど無関心な人は全く無関心だからなぁ…
「困ってる人」を読んで”若いのに可哀想”とか薄っぺらな感想しか持たない人にはオススメしないけど、ちょっとアカデミックな文章についていけて社会学や医療、介護などの分野に興味がある人にはオススメ。
以下、本を読みながら書いたメモ
まとめるのが面倒くさくなったのでコピペ 何となく雰囲気が伝わるでしょう
(いつも本を読みながら気になった箇所を開きっぱなしのエディタの画面に打ち込んでおいてあとで膨らませながらブログに書いてるのだけど手抜き というかいつもは数行なのだけどこの本は内容が濃すぎ)
社会保障や医療、介護について考えるのは自分のため
最終的に頼れるのは公的制度
若い人にとって「本」はコンテンツとして消費する対象でなくなってきている テキストは読むのに時間がかかるから敬遠される
前もってこれはだめというラインを引くのではなく、やってみてラインを踏み越えてしまったものにイエローカードを出すようなやり方じゃないと現場は萎縮する
先が読めない時代のリーダー論
医者との信頼関係 医療の持続可能性 訴訟リスク → 過剰なコンプライアンス
規則を作ることでかえって現場が動けなくなる
例えば痰の吸引、今までヘルパーは患者との同意書程度の個人契約でやれていたが法制化することによってかえって書類が増えて増えてやりにくくなった
適当なグレーゾンの余白がないと現場は動きにくくなる
憲法25条の最低限度の生活とはどういうものか過去60年議論されてきた
障害者福祉と高齢者福祉は違う 高齢者福祉の領域は経済力に差があることがある程度の前提条件で一緒にして考えられない部分がある
QOLとは何かという問題にいきつく
社会保障審議会は事務局によるアジェンダの設定でゴール(結論)が決まってる場合が多い
背後に非公式の勉強会があるがこれは情報公開請求しても出てこない
審議会はちゃんと反対派も呼んで議論したというアリバイ作りのため
ラベル:本/マンガ