2021年05月06日

リハビリのお話

脳卒中関係で新しく訪れる方も多いので、思い出したようにリハビリのお話。
(読み返したら、長い、読みづらい…)

要約すると

・脳卒中の場合の健康保険を使ったリハビリは180日まで
・最初に入院するのは急性期病院だけどリハビリの体制はないところが多い。
 命の危険がなくなったら回復期病院に移されてそこでリハビリする
・リハビリはPT(理学療法)OT(作業療法)ST(言語聴覚療法)の大きく3種類
 1日に受けられるのは合わせて2時間(多くて3時間) 自腹切ればもっと受けられるところもあるけど、いらないんじゃないかな
・180日過ぎると(過ぎなくても軽ければ)そこも退院させられて、自宅か施設で介護保険を使ったリハビリをする
・介護保険のリハビリは、要介護認定の介護度で決められた月額内でケアマネと相談して決める

以下、体験談含む長め

医療保険(健康保険)の制度により、脳血管障害 では150日、高次脳機能障害を伴った重篤な脳血管障害では180日まで1日6単位(1単位20分なので2時間)のリハビリが受けられます。
(別に厚生労働大臣が定める患者については1日9単位=3時間)
どんな条件かというと
別表第九の三:別に厚生労働大臣が定める1日9単位算定可能な患者
 回復期リハビリテーション病棟入院料を算定する患者
 脳血管疾患等の患者のうちで発症後六十日以内のもの
→ 発症後60日以内なんて急性期病院に入院している時期で、治療で手一杯でリハビリまでする余裕があるような病院はまずないでしょう。
  回復期リハビリ病院も180日以上になると診療報酬が減るので180日以上長期に入院できるような病院はまずないでしょう。
  よって、9単位受けられる人はまずいないでしょう。

6単位フルに受けることでさえ、リハビリの療法士の人員に限りがあるのでかなり難しいでしょう。
PT、OT一人で複数の患者を同じ時間に担当して、どうやっても怪我しそうもない軽い体操や手先を使った作業でお茶を濁してほっておかれるようなことも多いでしょう。(病院に対する文句というより厚労省への文句だけど、高齢化に伴う社会保障費の増大を考えるとやむを得ないでしょうね…)

脳卒中の場合、それを、PT(理学療法 運動の機能のリハビリ)OT(作業療法 作業にかかわる機能のリハビリ)ST(言語聴覚療法 言語・音声・嚥下にかかわる機能のリハビリ)に割り振るようになります。

私は入院時は全部受けてたのですけど、具体的にはPTは体幹とか歩行とか、OTは木の棒を穴に刺したり、革細工を作ったり、STは「ぱたから、ぱたから」と発音の練習したり、(”ぱ””た””か””ら”の発音はそれぞれ舌や唇の違う部分の筋肉を使うらしい)4コマ漫画をコマ順に並べ直したり、言われた数字を覚えて逆順に言ったり、とかやってました。
一般の人が思ってるリハビリはPTの体操とか、バーを使った歩行とかでしょうけど、脳卒中の場合、OT,STも同じぐらい重要なリハビリになりますね。

180日(150日)を過ぎると、次は基本的には介護保険によるリハビリになります。
(ここ10年ほどの間に、医療費削減のために医療保険から介護保険への移行が進められています)
医者の指示があれば医療保険によるリハビリを続けられないこともないようですけど、診療報酬を減らされてて基本的には介護保険に追い出されます。

介護保険の方は要介護認定というのを受けて介護度(要介護1〜5、要支援1〜2 数字が大きいほど重い)に応じて月額いくらまでのサービスを受けられるか決まって、その範囲内でその他の介護サービスと合わせてリハビリを受けることになります(実際の負担割合はその人の収入によって1割とか3割とか決められて通知が来ます)ここらへんはケアマネさんとの相談になりますね。

流れとしては、発症直後は急性期病院に運ばれ、急性期病院は救命がメインでリハビリ要員はいない(ところがほとんど)ので、看護師さんがベッドを立てて座らせるとか、車椅子に座らせる、程度の軽いリハビリだけで(でも、座位を保つだけでも発症直後は結構しんどくて、私は車椅子に座らされるとベッドを叩いて早く戻せというジェスチャーをして怒ってたらしいです(覚えてませんけど)
当時は医者から車椅子も難しいかもしれないと言われてました。

発症直後は昏睡状態で閉眼で痛み刺激にも反応がなく、1週間後に開眼して話しかけると応答するようになったらしいですけど、本人は全くその頃の記憶がないです。自動で応答していたような感じで、母親の顔はわかっても子供の顔もわからなかったようで、子供はそれがたいへんショックだったようです。

1ヶ月後ぐらいからの記憶は残っていて、この頃から子供の顔もちゃんと認識できるようになりました。 
でも、この頃はまだねずみ顔の全身黒タイツの小人が時々見えてました。(まじめな話、本物と区別がつかなかったです) あと、複視でものが二重に見えてました。
複視がなおったのが3ヶ月後ぐらい、頭を動かしたときのめまいが治ったのは1年後ぐらいでした。めまいはひどくて視界がぐるぐる360度回るような感じで吐き気もしました。 めまいが起きると頭を動かさないようにして「回ってない、回ってない」とおさまるまで待つしかなかったので、時間はかかったけどめまいがなくなったのは非常に助かりました。

命の危険がなくなれば急性期病院から回復期病院に移されます 
私の場合は1ヶ月後ぐらいにストレッチャーで医療タクシーで移送されたようです。
おぼろげながら転院した記憶があります。回復期の病院にはPT,OT,STがいてリハビリ室もあって、1日2時間のリハビリを受けてました。
リハビリがないときは自主的にベッド横に立ったり、許可されてからは廊下を車椅子や歩行器で往復したり、手すりに掴まって往復したりしてました。
他の入院患者は高齢者が多く、ほとんどの人はベッドに寝たきりだったのでそんなことやってる人はいなかったですけど。
当時はまだ40代だったし、1日2時間のリハビリでは全然足りなかったですね。

回復期リハビリ病院も180日を超えると(診療報酬が減って病院が赤字になるので新規患者と入れ替えたい)退院をせまられて、自宅に戻るか、どこかのリハビリ施設に入るかの選択になります。
私はなんとか杖歩行できるまでになったので自宅に戻って、自宅で訪問リハビリを受けてました。訪問リハビリは1年ぐらい受けてて、PTさんと「筋力も関節の自由度も十分で、これ以上やることないね…)という話をして、訪問リハビリはやめてリハビリ特化型の送迎ありのデイケアセンターに週2で1年間ぐらい通った(いらないと思ったけど、家族が納得しないので)あたりで体調悪くなり(というか薬が効かなくなってきて)そこも行かなくなって自宅で自主リハビリだけになりました。
ちょうど新型コロナの流行もあって、どちらにしても在宅の自主リハだけになってたと思います。

リハビリの制度は複雑な上しょっちゅう改定されるので、ここの情報も古くなってるかもしれませんので自分でよく調べるか専門家に聞いてくださいね。
患者サイドに立った最新の情報がうまくまとまってるサイトは見つけられませんでした…
ラベル:脳梗塞 リハビリ
posted by one-hand-engineer at 12:03| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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